考えてほしいこと

 この本を勇んで読もうとする前に、1つだけ試してみてもらいたいことがある。

 それは、この本を読み終わった後の自分にメールを書いてみることだ。材料は、この序文のものだけを使って、「こんな内容ではないか」というのを想像して送ってしまえばいい。

 そうすると、まず「未来の自分との距離が近くなり、親密に感じられる」という体験ができる。さらに、この本を読んだ後の自分の姿を想像することになり、未来の自分の解像度が上がる。本の方向性をある程度わかった上で読み進められるので、理解度も上がるはずだ。私が本書を読んでいちばんに感じたことは、「自分の未来と、親密になろうという発想がいっさいなかった」ということだ。

 将来こうなりたい、という状態があったり、その状態を想像できる人は多いと思う。しかし、その未来の自分と、親密な家族や友だちのような感覚を持てている人はどれくらいいるだろうか。おそらく、ほとんどの人が考えたこともないのではないか。未来の自分は、当たり前のように今の未来の自分とつながっているものだ、と感じるのが普通である。

 しかし、本書を読んで振り返ってみると、「1年後の自分」すら他人のような距離が感じられ、その人物がどんなに苦労しようが、嫌な目にあおうが、今の自分とはまったく関係ないような感覚があることに驚く。

 そんな距離感では、今の自分が未来のために行動ができるはずないのだ。まったく知らない他人のために、今の自分の喜びを捨て置き、苦しんでまで行動をするというのは本当に難しいことだからである。

 まるで他人のような未来の自分と親密になるためには、多くの行動とメンテナンスが必要になる。他人と親密になるためには、何度も会話をしたり、食事をしたり、遊んだりしないといけないのと同じように、未来の自分とも、頻繁にコミュニケーションをしなければ仲よくはなれないのだ。

 また、一度仲よくなったからといって、しばらくやりとりをしていなかったら疎遠になってしまうように、未来の自分との関係性も、常にメンテナンスが必要なものなのだ。

 本を読み終わった自分に向けてメールを打つという行動は、未来の自分と仲よくなるための最初の一歩であり、今後も長く続けられる手法の1つだろう。本書を読み終わった後に、別の本を読むときにも使えるテクニックのはずだ。

 10年後の自分にメールを打つのは気恥ずかしかったり、腰が重くなってしまうという人でも、本を読み終わった後の自分にメールを送ることは、比較的ハードルが低いはずである。本書を読み進める前に、ぜひとも一度、試してみてほしい。

 たった数行でもかまわない。人間関係のきっかけは、劇的な出会いであることのほうが少なく、ほとんどが大したことがない始まりだったりするのだから。

 という感じです!めっちゃよい本なので是非とも読んでみてくださいね!

 では!