オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列#13Photo:JIJI

「オーナー企業大国」の日本において、最強のオーナー企業は――。『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化してランキングを作成した。特集『オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列』の#13は、情報・通信121社の業種別ランキングをお届けする。12位にコナミグループ、2位にカプコンが名を連ねた。果たして1位は?(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

KKR、ベインによる争奪戦の舞台
富士ソフトもオーナー企業

 情報・通信業界で今、大きな話題を呼んでいるのは準大手システムインテグレーターの富士ソフトだ。

 資本効率の低さから「物言う株主(アクティビスト)」のターゲットとなり、外圧に屈した富士ソフトは2024年8月、非上場化へと踏み切る決断をした。米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)がTOB(株式公開買い付け)を実施し、約5600億円で買収する方針まで固まっていた。

 ところが、である。米投資ファンドのベインキャピタルも、富士ソフトに対してKKRの買収額を上回る総額6000億円規模での買収を提案したのである。富士ソフトを巡り、米大手ファンドが争う異例の展開となった。

 その異例の展開をさらに複雑にしたのが、富士ソフトの創業家だ。創業者で大株主の野澤宏氏が、KKRの買い付け価格がベイン案を下回る点を指摘し、KKRへの賛同と応募推奨を取り下げる意見書を富士ソフト側に提出。会社と創業者の意見が対立したのである。

 現経営陣と創業家の意見が対立することは散見されるが、そこへ外資系ファンドも絡む極めて異例の展開となっている。

 では、その富士ソフトは情報・通信業界の「オーナー企業」ではどのぐらいの評価なのか。

 ダイヤモンド編集部は『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「全1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化し、ランキングにした。

 ランキングには「同族支配度」についても記載している。同族支配度について、本特集#2『「非上場化しやすい」オーナー企業ランキング【キャッシュリッチな全90社】15位乾汽船、2位北野建設、1位は?』で紹介したように、改めて説明しておく。

 下表の通り、『ファミリービジネス白書』(白桃書房)を刊行している日本経済大学大学院の後藤俊夫特任教授らは、オーナー企業つまり同族企業の条件について「経営面」と「所有面」で分析。創業家による関与度によって、6段階に区分した。例えば、創業家から役員を送り出し、さらに筆頭株主であった場合は、同族支配度が最も強い「A」となる。

 次ページでは、オーナー企業のうち情報・通信121社の業種別ランキングを一挙に公開する。渦中の富士ソフトもランキングに登場する。