「オーナー企業大国」の日本において、最強のオーナー企業は――。『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化してランキングを作成した。特集『オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列』の#11は、卸売業181社の業種別ランキングをお届けする。8位にサンリオ、6位に神戸物産が入った。トップ3は?(ダイヤモンド編集部 澤 俊太郎)
業務スーパーは全国1000店超
卸売業オーナー企業ランキング
メーカーから商品を仕入れ、小売業者などに販売する卸売業。会社によって扱う商品や事業展開も多岐にわたり、小売店を展開する企業もある。
卸売業界で有名なオーナー企業とは。例えば、日本を代表するキャラクター「ハローキティ」の生みの親で、キャラクターグッズの販売やテーマパーク運営を手掛けるサンリオは、東京証券取引所の分類では卸売業に該当する。
同社は山梨県庁職員だった辻信太郎氏が1960年に山梨シルクセンターを設立したのが始まりだ。73年に社名をサンリオに変更し、ハローキティやマイメロディといったオリジナルキャラクターをヒットさせると、90年には東京都多摩市にテーマパーク「サンリオピューロランド」をオープンさせるなど、キャラクターなどのIP(知的財産)ビジネスでは屈指の知名度を築き上げた。
同社では辻氏が長期にわたりトップを務めてきたが、2020年に孫である朋邦氏が2代目社長に就任。92歳(当時)から31歳(当時)の社長に一気に若返ったことでも話題を呼んだ。
また、「業務スーパー」で有名な神戸物産も卸売業のオーナー企業だ。創業者・沼田昭二氏が1981年に食品スーパー「フレッシュ石守」を開業し、2000年に業務スーパー1号店を兵庫県三木市に開店。翌年に現在の社名に変更した。業務スーパーは23年10月末時点で全国に1048店舗を展開。現在は沼田氏の長男、博和氏が社長を務める。
では卸売業で最強のオーナー企業はどこか。ダイヤモンド編集部は『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「全1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化し、ランキングにした。
ランキングには「同族支配度」についても記載している。同族支配度について、本特集#2『「非上場化しやすい」オーナー企業ランキング【キャッシュリッチな全90社】15位乾汽船、2位北野建設、1位は?』で紹介したように、改めて説明しておく。
下表の通り、『ファミリービジネス白書』(白桃書房)を刊行している日本経済大学大学院の後藤俊夫特任教授らは、オーナー企業つまり同族企業の条件について「経営面」と「所有面」で分析。創業家による関与度によって、6段階に区分した。例えば、創業家から役員を送り出し、さらに筆頭株主であった場合は、同族支配度が最も強い「A」となる。
次ページでは、オーナー企業のうち卸売業181社の業種別ランキングを一挙に公開する。サンリオは8位、神戸物産は6位だった。上位に入った企業はどこか。