アテンションエコノミーで
競争を繰り広げるデジタル企業
ネットの世界にはコンテンツが溢れています。デジタル経済で生きる企業は、ユーザーの注意・関心をいかに向けさせ、時間を奪い合う競争を繰り広げてきました。このような「アテンションエコノミー」で競い合うデジタル企業は、消費者が向ける注意とそれを目当てにした広告収入を得るために日々、新しいコンテンツを生み出しています。
情報過多の現代において、利用者としてはできるだけ効率的に多くのコンテンツやサービスを消化したいというニーズが発生しました。そのための手段として、「動画の倍速視聴」や「ショート動画の視聴」、さらには「飛ばし見」「ながら見」などが広く支持されるようになり、タイパを重視したライフスタイルが広がっています。
また、Agoda(アゴダ)やBooking.com(ブッキングドットコム)などの旅行予約サイトのように、航空券や宿泊施設を一括検索・比較・決済できるワンストップのWebサービスは、タイパが重視される現代において大きなアドバンテージになっています。
大リーグのルール改正に学ぶ
現代企業のタイパ対応力とは
スマホの普及で娯楽の選択肢が格段に広がったことにより、エンタメやスポーツ業界では生き残りに向けた危機感が強まっています。たとえば、大リーグが試合時間の短縮に向けて、2023年シーズンから「ピッチクロック」を導入しました。
ピッチャーに投球の時間制限を設けて投球間隔を短くすることで、試合のピッチを上げる試みです。改正当初は一視聴者として違和感を持ちましたが、見慣れるうちに違和感がなくなるどころか、スピーディーな試合運びに集中して視聴することができたり、ピッチャー主導の配球に見応えを感じるなど大リーグを見る楽しさが増えたように感じます。
ピッチクロック以外にも極端な守備シフトの禁止やベースの拡大などのルール改正が同時に行なわれました。このルール改正により、バッターごとに守備位置を変えることで時間を要していたのがスピーディーになり、安打や得点の瞬間が増えました。さらに、盗塁を増やすことや、選手の怪我を防ぐためにベースのサイズを大きくして塁間を短くする変更も行なわれました。
アメリカの調査会社によると、従来のスポーツよりeスポーツを好むと回答した比率が12~17歳の女性で14%、男性にいたっては45%になっています(朝日新聞、2023年5月2日)。