子どもが「ヤバい」しか言わなかったら
親がしたほうがいいこととは

 それは中高生だけではありません。新井氏は著書の中で、小学校で算数の文章題を解けない生徒の多くが「何を聞かれているかわかる?」と聞かれても何も答えられない、という小学校教師たちの声を紹介しています。

 算数のドリルは満点なのに、文章題の答案は真っ白のままという生徒も少なくないと言います。

 こうした読解力の低下は、やはりまとまった量の日本語を読む機会が減っていることが主な原因でしょう。

 今の子どもを取り巻く環境は、親の時代とは大きく変わり、まとまった量の文章に触れる機会が非常に少なくなっています。特にスマホの小さい画面で短い文章を読むことが日常的になると、文字情報を読み取る力が弱くなります。また、目につく見出し部分のみを流し読みするとか、短い文章しか読まなくなると、当然、情報を処理する力も下がっていきます。

 さらに、今は小さな子どもでも「ヤバい」とか「キモい」などの若者言葉を発する子がいますし、どんな状況でも同じ言葉ばかり使っている子もいます。

 やはり、それでは語彙が増えていきません。

 子どもが同じ言葉ばかり使っていたら、たとえばその「ヤバい」はどういう意味なのか子どもに聞いてみましょう。

「気持ちが焦っている」や「危ない」「恥ずかしい」かもしれませんし、「すごい」「かっこいい」「面白い」なのかもしれません。

「その時、どんな気持ちがしたのかな。『ヤバい』じゃない言葉で言ってみようか」などと親が促しながら、「今日、幼稚園で先生にほめられたけど、みんなの前だったから少し恥ずかしかった」などのようにある程度きちんとした形で伝えられるよう、子どもの言語化力を引き出していきましょう。