IHI子会社のエンジン検査不正問題で、現場から設計・開発部門の役職者に不正をやめるよう再三の告発があったにもかかわらず、黙殺されていたことが特別調査委員会の報告書で判明した。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
IHI原動機の顧客目線を欠く姿勢
半世紀に及び約6800台のエンジンで燃費データの改ざんがあった――。今春以降、相次いで発覚した舶用エンジンの検査不正問題の皮切りとなったのがIHIの子会社・IHI原動機のケースだ。
経緯をおさらいしよう。4月、IHIは子会社のIHI原動機が製造した舶用・陸用エンジンで燃料消費率の改ざんがあったことを国土交通省に報告した。同省が同業他社にも注意喚起したところ、日立造船(現カナデビア)子会社の日立造船マリンエンジンとアイメックス、さらに川崎重工業でも同様のケースがあったことが判明した。
3グループ4社はそれぞれ外部の弁護士を委員長とする特別調査委員会を発足させ、原因究明と再発防止策の策定を進めていた。
IHIは10月30日に、調査を行った特別調査委(委員長=西村あさひ法律事務所・外国法共同事業の木目田裕氏)の報告書を公表した。同報告書で明らかになったのは、「臭い物」にふたをし続けた「事なかれ主義」と、著しく顧客目線を欠く姿勢だった。