崩壊 ディーラービジネス#1Photo:SOPA Images/gettyimages

2023年4月を発端に、ずさんな検査不正が相次いで発覚したダイハツ工業。信頼が地に落ちる中、そのしわ寄せは直営販売店から車を仕入れて販売する「サブディーラー」に向かっている。サブディーラーはこの窮地を脱し、ダイハツと共に立ち直ることができるのか。特集『崩壊 ディーラービジネス』(全7回)の#1では、ダイハツのディーラーが抱える課題と本音に迫る。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)

ダイハツ不正問題が招いた消費者の不信が
ディーラーを直撃!キャンセルも発生

 昨年12月にダイハツ工業が完成車の品質試験で新たに不正が見つかったと発表してから1カ月以上が経過するが、いまだ先が見通せない状況が続いている。

 不正の件数は12月20日の記者会見で新たに174件が明らかになったが、国土交通省の立ち入り検査などでさらに14件の不正が発覚。25日には全車種の出荷停止にまで追い込まれた。

 1月26日には、国交省が商用のトラックタイプの3車種の型式指定を取り消した。ダイハツの「グランマックス」、トヨタ自動車ブランドの「タウンエース」、マツダブランドの「ボンゴ」の3車種で、累計出荷台数は約2万4000台に上る。本来は衝突時にセンサーが検知して作動するエアバッグにタイマーを仕込んで作動させるなど、判明した不正の中でも特に悪質であると判断された。

 ダイハツの武田裕介取締役は、対象の3車種について「(物流など)商売を支えている、代えが利かないクルマだ」と説明。「大変なご迷惑をお掛けしている。本当に心の底から申し訳ない」と謝罪した。

 型式指定の取り消しは、当該車種の量産が困難になる処分だ。ダイハツは再取得を目指すと表明しているが、型式指定取り消しが主力製品である軽自動車にまで広がれば、正常化にはさらに時間を要することになる。

 問題が長期化すれば、大きな影響を受けるのは「サブディーラー」と呼ばれる街の販売店だ。

 サブディーラーたちはこの危機的な状況をどう受け止めているのか。次ページでは、ダイハツの販売網の多重構造を明らかにするとともに、ダイハツの不正の影響が直撃するサブディーラーの本音に迫る。