クレームを「改善」に変える顧客至上主義

 クレームを受けて商品改良に乗り出したドンキは、以下のような改善レポートを出している。

《お客さまのマジボイスにドこたえしました!「引き出しにくい」「とにかく切りにくい」お客さまの声にお応えして、リニューアルいたしました》

《カットしやすい刃に改良し、ロール向きを上向きから下向きに変更し、引き出しやすさと切りやすさも改善いたしました。たくさんのご意見ありがとうございました。今後も、お客さまのご意見・ご要望にお応えできるよう努めてまいります》

 ニーズがあるかわからない商品を実験的に出しつつも、しっかりと改善し、商品力に磨きをかけているのである。マジボイスでの顧客とドンキとのやり取りをみていると、売れている商品でも次々と改善を繰り返しているのがわかる。

 顧客のクレームも「リクエスト」として受け止め、顧客が望む商品やサービスを提供するための努力を惜しまないのだ。

 ドンキの権限委譲は、単なる経営手法を超え、企業全体の「顧客最優先主義」を実現するための重要な理念である。顧客の立場に立った商品開発や売り場作り、そして自由な発想を尊重する現場主導の運営は、今後も同社の成長を支える原動力であり続けるだろう。