2024年3月期の決算で営業利益5兆円を稼ぎ出したトヨタ自動車だが、トヨタ系サプライヤーもその恩恵を受けられているのか。特集『自動車・サプライヤー SOS』の#9では、役員報酬の推移を分析し、トヨタ役員の高額報酬の実態とグループ内の序列を解明する。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
16億円を受け取った豊田章男会長
上場企業役員報酬ランキングは4位
トヨタ自動車の豊田章男会長の役員報酬は、16億2200万円。今年6月に公開された有価証券報告書の役員報酬の中で、早川茂副会長(3億8900万円)や佐藤恒治社長(6億2300万円)らを大幅に上回る報酬を受け取っていたことが判明した。
東京商工リサーチの調査によると、豊田会長の報酬はソフトバンクグループのレネ・ハース取締役の34億5800万円、ソニーグループの吉田憲一郎代表執行役会長の23億3900万円、LINEヤフーの慎ジュンホ代表取締役最高製品責任者(CPO)の20億0800万円に続いて上場企業で4位となった。
トヨタは役員報酬について同報告書に、「日本企業に加えてグローバル企業もベンチマークとした役員報酬水準を参考に、報酬の水準を適正に決定している」と記載してある。2024年3月期の業績も営業利益が日本の上場企業として初となる5兆円超えとなったことを加味すれば、妥当という見方ができるかもしれない。
ただ、豊田自動織機やダイハツ工業で検査不正が相次いでいる点を踏まえると、適正な役員報酬といえるのか疑問符が付く(トヨタのガバナンス不全の詳細については、『トヨタ株主総会「シャンシャン」で終えるも豊田会長の信任率は大幅低下!浮き彫りになったガバナンス不全の実態』を参照)。
また、トヨタの系列サプライヤーに利益が適切に分配できているかどうかという疑問もある。役員報酬においても、トヨタと業績拡大に貢献してきたはずのサプライヤーとの差が拡大しているのだ。次ページでは、グループ企業の役員報酬の過去5年の推移を明らかにするとともに、グループ内序列を解明する。