そんなドラマ「相棒」の世界は小説でも味わうことができる。文庫のノベライズ版は、実力派ミステリ作家の碇卯人が手掛けている。
物語とともに注目していただきたいのが、文庫の“顔”でもあるカバー装画。今回の『相棒22』ノベライズは、イラストレーターの高杉千明さんが手がけた。「相棒」のドラマは、仕事をしながら再放送で見ることが多いという。何度も見ている回は、冒頭で「あ、この犯人知ってる!」と思いながら見たりするのも楽しいと話す彼女に、装画の仕事についてお話を伺った。
――「相棒」のおふたりを描くことになって、どうでしたか?
「相棒」のドラマは昔から好きで、このノベライズの装画のお仕事も、いつか私に来るといいなと思っていたから、「ほんとに来たー!」って。やっぱり嬉しかったですね。
相棒のおふたりも、できあがった文庫を目にされることはあると思うので、右京さんや亀山さんが見てくださったかも……。そう思うだけで、ちょっと上がります(笑)。私はドラマのファンでもあるから、推しが見てくれてると思うと、純粋にうれしくて。言うなら、公式ファンアートみたいなところもあって、楽しいお仕事でした。
同時に、プレッシャーもありました。相棒はファンもたくさんいらっしゃるし、今回のノベライズは『相棒season22』。シリーズを重ねるごとにキャラクターも確立されていて、そこから外れるわけにはいかない。でも、自分らしさも出したいし、単なる似顔絵ではないところで描きたい。そのあたりも大変ではあったけれど、やりがいがありました。
――いつもの装画のお仕事とは違うところもありましたか?
小説の登場人物であれば、たとえば髪が長いとか、三つ編みだといった描写があれば、そこからふくらませたイメージで描けばいいわけです。でも、ドラマのノベライズ本となると、実際にいらっしゃる、確固たるキャラクターのある人物に似せなきゃというか、見た方が誰かわからなきゃいけない、というのがある。