ユニクロに「足りていないもの」
《上期(秋冬)の利益が大きく、下期(春夏)が少ないといった利益構造から、下期もしっかり稼げる体質に変革いたしました。これは、春夏商売の柱となる商品が拡充したことに加え、シーズン末まで戦略的に売れ筋商品の在庫をもち、ニュースを継続的に発信したことで、下期の商売をさらに拡大できたためです》
《特にこれまで下期は利益が出にくかった欧米のユニクロ事業でも、2桁の営業利益率を継続的に出せる収益構造になりました》(岡﨑 健・グループ上席執行役員 CFO)
さて、この決算説明会では、柳井氏が人材論を語る場面があった。
《今後の成長において、最も重要なことは人材投資です。グループ全体の経営者、各国・各機能の経営者の発掘と成長、そして一番大切なのは、世界各地の店舗を支える店長や販売員の育成です》
《世界中で良い人を採用し、各人の志と会社の理念が一致し、店主・経営者として精一杯、日々の仕事に向き合う。そして、会社と社会に役立つ人材へと成長していく、そのような人の集団にすべく、今後も人材育成に惜しみなく投資していきます》
《自社の理念を共有し、実現するための経営人材の育成を考えれば、 すべての人材が、長期的視野で企業理念や価値観を深く学び、 継続的に成長していく教育体制が必要です》
《そういう考え方でこれまでもやってきており、土台はできています。大切なのは、上司が部下に会社の理念と考え方を明確に伝えること、 そして、部下が上司を超えるレベルに成長することだと考えています》
残念ながら、人材についての一般論を述べている印象だ。柳井氏のこれまでの発言や著作を追っている人ならともかく、これだけでは腑に落ちる人は少ないだろう。
決算説明会では、アナリストから好調な決算を前提として、今のユニクロに足りていない部分を問われる一幕があった。柳井氏は次のように答えている。少し長いが重要な部分なので、丁寧に文字起こしをしてみた。