が、うってかわって今は娯楽の種類も多いし、景気もよくなくて財布の紐が固いから、お金を払って買う価値があるかないかを、しっかりと吟味されてしまう。だから、この3つのどれかに振ってないと売れないんです。

 なので、まず著者ありきの本、「あの人に書いてほしい」という書き手にあわせた企画を立てる場合には、僕は、その人の持っている情報がこの3つのうちのどこに当てはまるのかを考えます。

『土俵裏』というキャッチーな
タイトルを思いついた

 貴闘力さんを著者に立てた『大相撲土俵裏』(2022年9月)という本を具体例にあげます。僕と、危険地帯ジャーナリストの丸山ゴンザレスとでやっている『丸山ゴンザレスの裏社会ジャーニー』というYouTubeチャンネルがあるんですが、ゲストとして貴闘力さんに出演してもらったことがあったんです。

 収録で貴闘力さんは角界の裏事情について、かなりのギリギリまでしゃべってくれて面白かったので、本の企画を考えてみることにしました。

 まず、売れ行きを考えた場合に、自伝はちょっと厳しいかなと判断しました。かといって、実用書に寄せた力士のなり方のハウツー本も、ちょっと違いますよね。さすがにマニアックすぎる。ならば知的好奇心をくすぐるコンテンツにするならどうしようかと考えて、大相撲の八百長や裏話を語ってもらうのがいいんじゃないかと。