――言われてみれば、確かにそうです。

 地質学・地球物理学・天文学・気象学と並べると難しそうですが、子どもの頃に夢中になった石ころ集めや星座図鑑、ロケットづくりの延長線上にあるのが地学です。

 このように地学は領域が広いので、各学校によって設備にも個性が出ます。例えば、海城が誇る「サイエンスセンター」の岩石処理室にはグラインダー(研削盤)があります。桐朋は天文台のほかにも本格的なデジタルプラネタリウムを備えています。成蹊は屈折望遠鏡を備えた天体ドームまで持っています。

 成蹊のすごいところは、1976年までは気象庁から地上気象観測業務を委託されており、「吉祥寺・成蹊気象観測所」として公的な役割を担ってきたことです。昭和元年(=1926年)以来、戦時中も含めて1日たりとも途切れることなく観測し続けてきました。

 ですから、助手が採用されるまでは地学の先生が学校の近くに住んで、盆暮れもなく毎日必ず校内にある百葉箱で気温を測っていたんです。先生方の並大抵ではない責任感にも頭が下がりますが、何よりも地学という学問に対する情熱を感じました。

 保護者の皆さんは様々な学校に見学に行かれると思います。行かれる際は、どれだけ生徒の知的好奇心を喚起する仕掛けに満ちているのかを見てきてほしいですね。

“礼儀正しい生徒”にちらつく
「学校の裏事情」とは?

――私立中高一貫校に行くと、あまりに豪華な建物や設備があるので、そこに目を奪われてしまう場合もあるかと思うのですが……?

 この連載の第1回でもお話ししましたが、親は学校見学に行く前に「わが子にはどういう人生を歩んでほしいのか」を考えていただきたいと思います。

 自分の中に軸がない状態でいきなり学校選びが始まると、どうしても数字(偏差値や大学合格実績など)や世間の物差しで判断したり、豪華な設備に目がいってしまったりする。特に偏差値は数字なので基準とする方も多いでしょう。しかし、「子どもにとって本当に大切なこと」を見えなくする可能性があるので注意が必要です。

――他にも保護者にとって盲点になることはありますか?