など、過去の体験や他者に対する思いについて質問することから始めてみるのは有効です。

 すぐに目的や目標を明確にしようと焦らずに、じっくりと話を傾聴することも大切です。

 メンバーは真剣に話を聞いてくれる姿勢に信頼を寄せ、これまでは言葉に発してこなかった秘めたる願望や、会社・仕事への思いなどを少しずつ話してくれることもあります。

 メンバーが願望を話してくれたら、その理想を実現するために「メンバー自身がどのような成長や挑戦ができると良いか」にまで最終的には話を落とし込んでいきます。それにより、彼らが内発的に仕事に取り組んでいくことにつながっていきます。

メンバーの育成に
つながる「同行指導」

 メンバーの目的・目標を明確にするのは、何も1on1や面談の中だけではありません。もっともメンバーの育成につながるのは「現場の同行指導」です。

 人間は知らないものを夢見ることはできません。

 野球の試合を一度も見たことのない少年が「将来は大谷翔平選手みたいになりたい」という願望は描けないのです。

 ですから、マネジャーは「仕事の魅力や価値」を現場に同行しながら伝えることが理想的です。

 具体的には、自分の仕事に同席させたり、お客様から感謝を伝えられる場面に同行させたり、他部署の人とチームを組んで仕事を進める場面に巻き込んでいく、などです。

 これは営業職だけでなくバックオフィス業務でも同様です。

「こんなふうに他部署から感謝の声がもらえるプロになりたい」と体験したり、「この仕事は全社のこのような未来につながる重要な仕事だ」という意味づけを聞けたりすると願望が明確になってきます。

生き生きと仕事をする
社員の話を聞く機会を用意

 会社の中には、会社・仕事・商品が大好きで生き生きと仕事をしている社員もいます。そのようなメンバーを特別講師に「社内勉強会」を開催したり、朝礼で全体メッセージをしてもらったり、メンバーと少人数で食事にいってもらうこともひとつの方法です。