物流会社の2025年3月期第2四半期決算は、「2024年問題」を追い風に価格転嫁に成功した企業とそうでない企業とで業績の明暗が分かれた。主にBtoB物流で価格改定、単価アップの収益寄与が目立った一方で、BtoC関連では価格転嫁の遅れが見られた。人材確保に向け、人件費の上昇が続く見通しである一方、少子高齢化で国内の物流需要の大幅増が見込めない中、プライシングが企業業績に与える重みが増してきそうだ。(カーゴニュース編集部)
佐川急便が傘下のSGHDは2ケタ増収
セイノー、鴻池は単価アップで大幅増益
物流各社の2025年3月期第2四半期決算を見ていこう。宅配大手の佐川急便を傘下に持つSGホールディングスは売上高が7080億2900万円(前年同期比10.0%増)、営業利益は391億2700万円(0.7%増)。中核となるデリバリー事業では、2024年4月からの届出運賃の改定や、取引ごとの適正運賃収受の取り組みを継続したことにより、平均単価が上昇した。
セイノーホールディングスは売上高が3316億400万円(5.1%増)、営業利益が130億7500万円(15.5%増)で増収・2ケタの営業増益を達成した。主力の輸送事業では、特積みで長距離・高重量帯の強みを活かして、想定以上の単価上昇・日当り物量の伸長を実現した。
鴻池運輸は売上高1696億8900万円(9.1%増)、営業利益は120億1900万円(46.9%増)と大幅増益。空港関連での国際旅客便の復便等の取扱量増加に加え、単価アップの獲得、食品関連(定温)における取扱量の増加や単価アップの獲得など適正単価の収受が増益要因として挙げられた。
トナミホールディングスも、物量増とM&A効果に加え、適正運賃・料金の収受も寄与し、売上高は半期で過去最高となる752億1700万円(8.1%増)、営業利益は34億8400万円(18.9%増)と2ケタの増益だった。