――Xにハマったのは作家になってからですか?

「なんとなく雑に扱われてきた…」ベストセラー作家が明かす意外な過去宮島未奈(みやじま・みな) 1983年静岡県生まれ。滋賀県在住。京都大学文学部卒業。2018年「二位の君」で第196回コバルト短編小説新人賞を受賞(宮島ムー名義)。2021年「ありがとう西武大津店」で第20回「女による女のためのR-18 文学賞」大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞。2023年、同作を含む連作短篇集『成瀬は天下を取りにいく』でデビューし、翌年本屋大賞を受賞した。 写真:文藝春秋

 それ以前も、滋賀や琵琶湖のこととか、地域のことを発信していました。それってXの醍醐味だと思っていて、それで始めたところがあります。

 私がユーザーになったのは2011年ですが、Xの良いところって、近所の情報が手に入ることだと思うんです。滋賀にもこういう人がいるんだなあとか。その頃から、Xは議論を深めるツールというより、自分の身の回りのことを発信するツールって感じです。

――SNSとの付き合い方に悩んでいる人もいます。「SNS疲れ」なんて言葉も。どう付き合うのが良いと思いますか?

 私自身が閲覧しすぎの方だと思うので、何とも言えないですね……。スマホで各アプリの使用時間を見ると、Xの時間が突出して多いんです。やっぱり見ちゃう。だから、つき合い方に悩むというよりは、覚悟して私は使っています。もちろん、見なくていいなら見なくていい。それは間違いないです。

 エゴサーチなんかも本当はしない方がいいと分かっているのに、やっている。私は、「したいのにしない」というストレスを抱えるよりは、「したいならする」を選んでやっています。

 最近はエゴサをしても、パターンが読めてきたので、耐性ができたのかもしれません。読めば嫌な気持ちにはなりますが、それは自分が覚悟した結果なので仕方ない。そう思うと、Xに悪いことが書かれていても、雑音みたいなものかなと受け止められます。

 一方で、Amazonレビューや読書メーターの感想などは見ていません。自分の中で棲み分けをしています。Amazonレビューでキツイ感想が書かれていると、嫌な気分になりますね。作品のことも自分のことも、言われるのは嫌です。新刊が出たばかりの時は読むこともありますが、『成瀬は天下を取りにいく』についてはもう見ていません。

――宮島さんはそういったネット上の雑音を受け流す術を身に着けたのですね。

 受け流すというか、次から次へと感想が出てきますし、悪い意見があってもその後に良い感想が出てきたら上書きされる。その繰り返しという感じがします。なので、一つ一つをあまり気にしていない。