10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭でも取り入れられるそのノウハウを紹介する。
必ずいい結果が出るように「仕込み」をする
子どもに適切な声かけをするには、「仕込み」が必要な場合もあるということを前回お話しました。
例えば、ずっと100点ばかりだったのに、最近はどの教科もスランプで、あまりいい点数が取れない場合。子どもは不安で戸惑っていると思います。「あれ、自分はできる子だったはずなのに、おかしいなぁ……」と。
その場合は、それまで「できる子だった」という過去と、調子が狂ってきている現状を踏まえて「仕込み」をしましょう。
ゴール(最終的な声かけをするタイミング)は、数週間後に設定します。そして、全教科を頑張るのではなく、いったん、どれか1科目に集中させてください。おすすめは、社会や理科などの暗記系。今習っていることをとにかく覚えさせます(重要ワードを虫食いにしたプリントなどを作成してひたすら覚える)。そうすると、他の3教科はイマイチかもしれないけれど、注力した1科目は必ず良い点数が取れます。
そして、いざ良い点数を取ってきたら、しっかり褒めてあげましょう。もちろん、「すごいね」「頑張ったね」などでも構いませんが、今回は仕込みを施し、長期スパンで成長を見届けたという経緯があります。
ですから、ぜひとも本人の自信をよみがえらせるような声かけをしてあげてください。
例えば、私ならこう言います。
「天才を証明してしまったね」
このような声かけをすると、子どもは笑いながら自信を取り戻します。その結果、また自分でエンジンをかけて頑張れるようになります。
結果が芳しくない場合、親は反省して気持ちを切り替える
ただし、ときには仕込みをしても結果が伴わないこともあります。
子どもは努力していたのに結果が出なかった場合は、指導者(親)のやり方に問題があったと考えましょう。だからまずは親が自分のやり方を反省し、計画を立て直します。そして「次頑張ろう」と声をかけて、二人三脚で進んでいってください。
*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。