大和ハウス工業の芳井敬一代表取締役社長CEOは、就任から6年目に突入し、来期にも社長交代の観測が出始めている。特集『大和ハウス工業 三刀流の異端経営』(全6回)の#3では、大和ハウス工業次期トップの有力候補4人の実名を挙げ、社長レースの行方を大胆予想した。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
「中興の祖」樋口氏以降の
歴代社長任期は6~7年
大和ハウス工業において、社長任期に関する慣例は存在しない。ただし、「中興の祖」である名誉顧問の樋口武男氏が2004年に社長を退任して以降、村上健治氏(社長在任期間04年4月~11年3月)、大野直竹氏(同11年4月~17年11月)と、歴代社長の任期は6~7年となっている。
17年11月、当時取締役常務執行役員だった芳井敬一氏は、健康上の理由で退任した大野氏からバトンを受け継いだ。
芳井氏は、優れた経営手腕を発揮して売り上げを拡大。19年3月期には売上高4兆円突破を達成した。順調な滑り出しに見えたが、落とし穴が待っていた。
19年3月から20年2月にかけて、賃貸アパートなどを巡る建築基準不適合問題や国家資格の不正取得、社員による架空発注など不祥事が相次いだのだ。これを受け、芳井氏はガバナンス体制の抜本的見直しに追われることとなった。
そこへ新型コロナウイルスの感染拡大が直撃。21年3月期は4期ぶりの減収減益を余儀なくされた。しかし、その後は業績を立て直して22年3月期、23年3月期は2期連続で営業利益が過去最高益を更新。いよいよ大台である売上高5兆円が視野に入ってきた。
芳井氏はガバナンス体制の構築に加え、持続可能な収益基盤を整えて業績を拡大してきた。その芳井氏が就任6年目に突入していることもあり、社内では「来期には社長交代」という観測が出始めている。
芳井氏の後継者は、まず第7次中期経営計画(22~26年度)で掲げた売上高5兆5000億円の達成に向けた経営のかじ取りを求められることになる。
では、「ポスト芳井」の有力候補は、いったい誰なのか。次ページからは有力候補4人の実名を明らかにする。かつて社長賞を受賞したエースが最右翼として浮上するなど、次の社長人事では、ビッグサプライズが起きるかもしれないのだ。