タイミーの大型上場に沸いた2024年のスタートアップ業界。だがこれまでIPO(新規株式公開)中心だったスタートアップの出口戦略には変化の兆しが見える。さらに、ドナルド・トランプ米大統領の再選や地政学リスクの観点からの注目領域にも変化がありそうだ。特集『総予測2025』の本稿では、ベンチャーキャピタリスト、個人投資家ら3人に、25年の業界動向を聞いた。(ダイヤモンド・オンライン 岩本有平)
上場間もないスタートアップの課題
M&Aが解決する
2024年は海外有力ベンチャーキャピタル(VC)による大型投資や、AI・ディープテック領域の躍進が目立った日本のスタートアップ業界。投資家へのアンケート結果を見ても、このトレンドは25年も継続しそうだ。
24年は初値ベースで時価総額1760億円を付けたタイミーのIPO(新規株式公開)が話題だった一方、時価総額が数百億円規模のスモールIPOへの風当たりは強い。
24年12月10日には東京証券取引所が「グロース市場における今後の対応」と題したレポートを発表した。
このレポートはスタートアップの経営者や関係者へのヒアリングを取りまとめたもの。その総論では、「同種の事業やビジネスモデルの企業が成長できないままに放置されており、人材やコスト面で非効率」「上場することよりも上場後に株価を上げていくべきで、成長のためにM&Aを活用することは悪いことではない」といった内容がまとめられており、スモールIPOに事実上の「NO」を突き付けたともいえる状況だ。
出口戦略が転換点を迎えているスタートアップの状況をどう考えるのか。次ページで、3人の投資家に、スタートアップを取り巻く環境について聞いた。