「遅刻の理由がない……!?」
考えない部下に怒り心頭

 私は企業の“受付嬢”として10年以上働いてきましたが、受付の仕事は、「時間」に厳しい仕事だと感じています。綿密にシフトが組まれており、会社の顔と言われている受付に穴を開けないよう、そして円滑に運営できるよう、私たちは時間通りに動くことが求められます。

 お昼休みや移動ローテーションなどもきっちり時間が決まっており、誰か一人でもスケジュールを乱すと、受付スタッフ全員に影響が出てしまいます。ですので、遅刻なんてもってのほかです。

 そんなある日、同僚のCさんが、遅刻をしてきました。リーダーは、「今日はなんで遅刻したの?」と質問しました。

 すると、Cさんは「わからないんです。時間通りに出たのに、ぼーっとしていたら乗り換えに間に合わなくて……」と答えたのです。

 普段怒ることのないリーダーでしたが、この回答には激怒。

「私たちの仕事は時間を守ることがとても大切なことがわかりませんか? そんな覚悟では勤まらない仕事です。電車の遅延などの遅れる理由がある場合でも、事前に連絡を入れるのが普通ですが、今後も受付の仕事をやっていく気はありますか?」

 私も上司の言葉をそばで聞いていて、その通りだと思いました。言われた彼女も反論の余地がなく、反省からか、涙を流していました。

 私はその時、リーダーが怒っているのは彼女のためでもあるけど、受付スタッフ全員に対するメッセージでもあると受け取りました。こういう事態が起きた時に、改めてチーム全体の意識を高める意味でも、怒っているのだと感じたのです。

「時間を奪う」人に幻滅
経営者になって感じたこと

 経営者になってからも常々、時間と向き合っています。

 日々めまぐるしく、時間が足りないと感じることもしばしば……。。そんな中で、弊社の従業員に対しては、「人生一度きり、誰しも限りがある時間をうちの会社に費やしてくれているんだ」ということを有難く感じています。

 だからこそ、私が怒りを覚えるのは、「時間を奪われること」です。