40歳・50歳・60歳から人生を一新! 資格&学歴 裏ワザ大全#1

資格の王道である「法律系」資格。40代、50代がゼロから挑戦しても受かりやすく、稼げる資格はあるのか。特集『40歳・50歳・60歳から人生を一新! 資格&学歴 裏ワザ大全』の#1では、大手資格学校、東京リーガルマインド(LEC)の社長で、自らも弁護士資格を持つ反町雄彦氏に、中高年から人生を変えられる法律系資格を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

新人弁護士業務は生成AIが奪う
中高年からの弁護士挑戦に向く業界とは?

――資格といえば、弁護士をはじめとする法律系の資格を真っ先に思い浮かべる人は少なくありません。ご自身が弁護士資格を持っているにもかかわらず、「中高年からの弁護士挑戦はお勧めしない」と、以前の取材で指摘していました。その考えは変わらないですか?

 そうですね。こんなことを言うと現場から怒られるのですが、やはり弁護士は中高年がこれから目指す資格としては、あまりお薦めできません。まず、一発試験である司法試験予備試験の合格率は例年3~4%程度で非常に難関であること、そして、合格者の多くを偏差値の高い一部の大学生・ロースクール生が占めていること、この2点から、中高年が働きながら目指すには現実的ではない。

 そうすると、結局はロースクール(法科大学院)のルートを選ぶことになるのですが、こちらのルートもリスクが高いと思っちゃうんですよね。2年間高い学費で通っても、平均合格率は40~50%程度。ロースクールによっては合格率20%台とかもざらなので。

反町雄彦・東京リーガルマインド(LEC)代表取締役社長兼CEO、弁護士そりまち・かつひこ/東京リーガルマインド(LEC)代表取締役社長、弁護士。1976年生まれ。98年東京大学法学部在学中に司法試験合格。同大学卒業後の99年にLECに入社し、司法試験対策講座の講義を担当。2005年に弁護士登録(東京弁護士会所属)。14年より現職。

 そのリスクに対して、テレビドラマに出てくるような昔ながらの弁護士のイメージのまま目指しても、かつてのような収入はまず見込めません。いま、弁護士になって事務所に入ったところで、未経験者は年収600万円未満だったりするのでコストやリスクに見合わないんですよね。

 現在、弁護士が安定的に稼げる領域は企業法務ですが、その企業法務をメインにしているような事務所は昨今、弁護士の新規採用にお金をかけていません。従来は新米弁護士に任せていたような業務の多くが、生成AI(人工知能)で代替できるようになってきたためです。現時点で実務経験が15年以上、かつ40歳前後までの弁護士なら逃げ切れるかもしれませんが、キャリアの浅い弁護士は、稼げる仕事である企業法務でも生き残りが厳しくなるでしょう。

――それでも花形の職業である弁護士に憧れる人は少なくないように思います。どういった人であれば中高年で弁護士を目指してもリスクが小さいでしょうか?

 現在、身を置いている業界次第では、中高年からでも弁護士を目指すのに向いている人もいます。それは……。

次ページでは、中高年からの弁護士挑戦でも勝算が高い業界に加え、弁護士を超える中高年におススメの二つの「法律系」資格、さらには法律系資格が向く人と向かない人の違いについて、LECの反町社長が指南する。