炭水化物抜き・朝食抜きダイエットで
食物繊維不足が原因の便秘もある

 正常な排便の量と回数は、1日200g以下の排便量、含まれる水分が60~85%、回数は1日1~3回といわれています。バナナ1~1.5本程度の量で、コロコロしておらず、形は1本になっているものが理想的とされています。

 便秘傾向では、分離した硬い木の実のような兎糞状、硬便が集合したソーセージ状の塊便になります。

 また、下痢または下痢傾向では、ふわふわとした不定形の泥状便、固形物を含まない水のような水様便になります。

 私は「便秘がなぜ起こるかをある程度明確にしたうえで治療すべき」という観点から、障害が予測できる部位と原因別に、新しい便秘の分類方法を考案しました。小腸、結腸、直腸・肛門、消化管内容物、ストレスという5つのカテゴリーを用いる方法です。

 排便を我慢することで便意が弱くなったり、消えてしまったりするタイプは、直腸・肛門に障害があると考えられます。

 大黄・センナ・アロエなどのアントラキノン系の刺激性の下剤を連用していると、大腸メラノーシス(大腸黒皮症)を起こして結腸の動きがますます悪くなり、便秘が悪化します。これは結腸が障害を受けているケースです。

 炭水化物抜きダイエットや朝食抜きダイエットで便をつくるだけの食事量(食物繊維量)を摂取できていないと、便秘になっている場合は消化管内容物に原因があると思われます。

 このように、どこに障害があるかが判明すれば、治療もしやすく、薬の副作用を最小限に抑えながら効率よく治療することができるのです。

「単なる便秘」と油断して
大腸がんになるケースも

 単なる便秘だと思っていたら、大腸の病気が潜んでいることがあります。特に問題になるのが大腸がんです。大腸がんができているために腸管内が狭くなり、排便が困難になり、便秘になることがあります。直近1ヵ月程度の間に始まった便秘は、特に注意が必要です。

 私のクリニックでも「なんとなく便秘気味で大腸の状態がおかしい」と来院した患者さんで、大腸がんとわかった人が複数います。

 大腸がんを疑う場合、具体的にどんな症状が現れるかを列挙してみました。