1月「埼玉入試」の全体傾向

 1月10日から始まる埼玉は、合格体験を得る「お試し受験」として、東京・神奈川・千葉からの受験生も集まってくる。必ずしも志望校でなくとも、模試感覚で受けることも多い。そうした傾向を学校側も心得ていて、実倍率を2倍以下に抑える傾向がうかがえる。合格者の合計人数が募集人員の10倍ということも珍しくはない。

 埼玉県内にいわゆる難関校はないが、難関レベルのコースとそれに合わせた入試はある。女子校は県内に3校あり、難度では、A、C、Gランクと分散している。

 24年埼玉入試最大の出来事は、男子同様、開智所沢中等教育学校の開校だった。募集人員は240人で、のべの数値となるが、志願者数7913人、受験者数5371人、合格者は3614人と募集人員の15倍も出した。初年度の入学者数は390人で、募集人員の6割強増しという破格なものとなった。25年は募集人員を300人に増やす。この”開智所沢旋風”は、越谷市や狭山市といった周辺エリアの私立中学の募集に甚大な影響を与えている。

 25年には開智(さいたま市岩槻区)と入試日程や入試問題をシンクロさせ、両校での合否も判定される。中堅校の横展開という、これまでの私立中高一貫校では見られなかった経営戦略のなせる業だ。最初に受験料2万円を支払えば、追加の受験料なしにグループ校の入試を何回でも受けることができるため、志願者数が膨らみがちになる点に注意したい。とりわけ開智と開智所沢に関しては、個別に志願者数や実倍率を見ることの意味が薄れてくる。この点をどう評価して判断するかにより、埼玉の受験地図の見え方は一変することになるだろう。

 まずは埼玉の一般入試初日となる1月10日から見ていこう。12月2日からネット出願受付が始まった栄東埼玉栄大宮開成開智開智所沢に志望者が多く集まる傾向にあるのは男子と変わらないものの、女子は栄東よりも開智に流れる傾向が見られる。