第7次エネルギー基本計画(エネ基)の原案が、17日に資源エネルギー庁から発表された。だが、電源構成の見通しについては、大きな幅が持たされ、事実上の複数シナリオの提示であると言わざるを得ない事態だ。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、「わざわざエネ基を作る意味がなくなる」と憤る理由を徹底解説する。(国際大学学長 橘川武郎)
2040年度の電源構成の見通し
「再エネ4~5割、原子力2割、火力3~4割」
第7次エネルギー基本計画(エネ基)の原案が、2024年12月17日に開催された総合資源エネルギー調査会第67回会合で、事務局を務める資源エネルギー庁から発表された。最も注目を集めた40年度の電源構成見通しについては、再生可能エネルギー(再エネ)4~5割程度、原子力2割程度、火力3~4割程度、という数値が示された。その前提となる電力需要は、22年度の0.9兆キロワットアワー(kWh)から40年度には0.9~1.1兆キロワットアワーに変化すると見なされている。
18年の第5次エネ基で追認された15年策定の「長期エネルギー需給見通し」や21年策定の第6次エネ基(いずれも対象年度は30年度)でも、再エネおよび原子力の構成比については2%の幅が設けられていたが、今回の第7次エネ基の原案では、再エネおよび火力の構成比の幅が10%にまで拡張された。これは、事実上の複数シナリオの提示であると言わざるを得ない事態である。