学生時代から私は、日本国憲法の改憲規定(96条)は厳し過ぎると考えてきた。その考えは今も変わっていない。
改憲要件が厳しい憲法は硬性憲法、改憲が比較的容易な憲法は軟性憲法と性格付けられるが、多くの国の憲法と比べて、わが憲法は硬性憲法の典型と言えるだろう。
憲法改正は衆参両院それぞれの全議員の3分の2の賛成によって発議され、国民投票で過半数の賛成を得なければ実現しない。この硬性過ぎる改憲手続きによって憲法改正は不可能なまでに困難になっている。
“解釈改憲”の横行も
過度の硬性憲法による弊害
現行憲法が制定されて70年近くを経たが、過度の硬性憲法はさまざまな弊害をもたらしてきている。
①まずは、自衛隊の創設に代表される“解釈改憲”の横行だ。
長期にわたって理念や条文の拡大解釈や類推解釈が積み重ねられて既に相当程度憲法が歪められてきている。かくいう私も9条の解釈改憲を支持している。
②長い戦後史の経過の中で、国、社会、個人の問題状況は大きく変化してきているが、憲法は時代の変化への対応力を欠いている。
③最高裁の違憲審査権も機能不全となっているし、“統治行為論”や“超法規的措置”などの法理によって政治の勝手な判断を追認する手法が定着しつつある。
④その結果、憲法の権威が著しく失墜してきた。