さらに、喫煙者は血流が悪いため、歯周病の治療をしても、その後の治りが悪く、期待した効果を得にくくなります。
そのため、喫煙している歯周病患者さんには、何よりもまずタバコをやめることをすすめます。喫煙の悪影響をきちんと説明し、「歯周病を本気で治したいのであれば、禁煙してください」と話すと、やめる方は多いです。そして禁煙すると、みるみる腫れてきて痛くなる方が多くいますが、これは歯周病に対する体の免疫反応が正常に戻ったということです。
歯周病で溶かされた骨を増やす歯周組織再生療法や、インプラント治療を行うのに骨を作る骨造成法を行う場合は、100%禁煙してもらっています。論文によれば、これら再生療法の喫煙者の成功率は著しく低く、手術後の合併症の発症率は著しく高いことがわかっています。これら再生療法の喫煙者の成功率は著しく低く、手術後の合併症の発症率は著しく高いという結果は、論文からも明らかです。
実はかく言う私も、かつては1日2箱吸うほどのヘビースモーカーでした。しかし、歯周病専門医の資格を取ったタイミングでタバコをやめました。患者さんにやめるよう促す立場の人間が喫煙していては、説得力がないからです。ですから、私自身、タバコをやめる辛さはよくわかります。
当時は「パイポ」という禁煙用パイプでなんとかしのぎましたが、今は病院に禁煙外来がありますし、ニコチンパッチや禁煙ガムなどの禁煙補助薬もありますので、以前よりもずいぶん禁煙しやすくなっていると思います。たばこ税も上がっていますし、健康にも良いことは1つもありませんので、喫煙している人はぜひ禁煙しましょう。
歯を整えると
年収も高くなる!?
歯を美しく健康に保つことを身だしなみやステータスと考える欧米に比べ、日本では歯に対する意識がまだまだ低いのが現状です。パナソニックが2013年に日米の男性ビジネスパーソン各200人を対象に行った調査では、歯にトラブルがなくても歯科医院に通院する人の割合は、アメリカ人男性の76%に対して、日本人男性は36%という結果でした。アメリカでは予防のために歯科医院に通う人が多いのに対して、日本では「歯は問題が起きたら治療するもの」という意識が未だに根強いことがうかがえます。