“個”に徹底フォーカスし
誰もが活躍できる組織に

 SHIFTには、仕事は自分でつくるものという文化がある。ビジネスサポート部でも、任された業務をただこなすだけでなく、発注者側にとっての価値をどう創出するかを心がけている。

 たとえば、社内のある部署から「ノートアプリで課題管理表をつくってほしい」と依頼を受けた際には、指定された項目が揃った表を作成するに留まらず、入力ミスや表記のゆれを防ぐために入力規則を設定したり、集計シートを実装したりしたうえで、管理表の使い方をまとめたシートも用意した。期待を超える仕上がりに感激した依頼者は、「本当に助かった。業務がスムーズに進むだけでなく、頼れるパートナーがいるという心強さを感じた」とブログに書き込んだ。

 ビジネスサポート部では、業務の発注者側に半期に一度アンケートを行っているが、「効率化できた」「生産性が上がった」という声が多いという。「こうした声を聞くとメンバーの自己肯定感が高まって、より貢献したいというモチベーションが生まれて仕事の質が上がり、その結果、発注が増えるという好循環につながっています」と、大泉氏はほおを緩める。

 メンバーが才能と能力を発揮できるよう、働きやすい環境づくりにも細かく配慮している。入社前に一人ひとりの目標や得意なこと、苦手なこと、配慮してほしいことなどをまとめた「マイカルテ」を作成、対話を重ねながら定期的な見直しを行う。メンバーは毎朝、その日の体調や業務内容・工数などを管理システムに入力、管理者が健康やストレスの状態を毎日チェックし、何らかのケアが必要な場合は、メンタルヘルスの専門知識を持つ担当マネジャーがサポートする。短時間勤務や在宅勤務も可能で、出社比率は業務内容と本人の希望に合わせて柔軟に調整可能だ。

 障がいは個人の特性の一つととらえ、必要な配慮は行うが、特別視はしない。SHIFTは全社的に成果報酬制度を導入しており、半期に一度の評価で次の半期に期待される役割と報酬が決まる。障がいの有無は関係なく、一人ひとりの評価ポイントが違うだけである。評価は、成果に基づく絶対評価で、人事、各部門長、経営陣が一緒になって1人当たり1.5カ月程度の時間を使うほど、すべての社員を正しく評価することにこだわっている。

 採用も働き方も評価も、〝個〟に徹底フォーカスするのがSHIFT流であり、結果的にそれが障がいのある人も才能や能力を発揮できる環境につながってきた。「障がいをつくっているのも、それを取り除くのも私たちです。個にフォーカスすることで、必ず新しい可能性が見えてきます」(北川氏)。SHIFTはこれからも、誰もが活躍できる組織、そして社会の実現を諦めない。