経営統合に向けて動き始めたホンダと日産自動車だが、乗り越えるべきハードルは多い。ホンダは日産に対して、統合協議を始める条件として構造改革プランの再提出を求めており、日産が真っ当な計画を提示できるかどうかが第一関門となる。中でも、最難関のハードルになりそうなのが、工場の閉鎖を伴う「生産拠点のリストラ計画」を示すことだ。特集『日産 消滅危機』の#12では、日産の車両工場の中で閉鎖候補となるのはどれなのか。大胆に予想した。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)
日産幹部は工場閉鎖を否定も
ホンダは冷酷姿勢を貫く
ホンダは日産自動車に対して、1月末に期限を区切り、構造改革を含む再建計画を出し直すよう要求している。
その構造改革のメインとなるのが、日産の生産拠点のリストラである。すでに日産はグローバルな生産能力を20%削減すると宣言しているが、工場や生産ラインを閉じることはないとしてきた。
生産担当の坂本秀行副社長は、「(1)シフトパターンを変えて人員の効率を上げたり、(2)老朽ラインと新鋭ラインを統合したり、(3)インテリジェントファクトリーの技術を使って人員効率を上げたりすることで生産効率を上昇させるもので、大規模に生産調整をするわけではない」と説明してきた。
だが、生産部門を経験した日産OBは、「生産能力を2割下げると宣言しておきながら、工場閉鎖や生産ライン削減をしないと言っている。製造業では、稼働時間を調整するだけの、固定費が落とせない中途半端なリストラはナンセンス。寝言を言っているとしか思えない」と指摘する。
実際に、日産に構造計画の見直しを迫っているホンダの幹部が、「例えばタイなど、どこの工場を閉めるという具体的な対象地域が入っていない計画は認めない」と冷酷な姿勢をあらわにしているくらいだ。
ダイヤモンド編集部は、東海東京インテリジェンス・ラボの協力を得て、日産、ホンダ、三菱自動車のグローバルな車両工場の稼働率(国・地域別)を推定。その結果、日産のどの工場が閉鎖候補となるのかを、大胆に予想した。
日産には主な生産拠点だけでも20工場以上あるが、少なくとも3拠点が閉鎖候補となるだろう。