――好きを仕事にした結果、好きだったことがだんだん嫌いになることってありますよね。三宅さんにもスランプはありますか?

 私は基本、楽しくやれていますね。仕事としてやると苦しくなる、みたいなことは私にはあまりなくて。でも、それもいろいろ恵まれているからだと思います。

 好きを維持するのって、人によっては、また時と場合によっては、大変になりますよね。仕事が本当に忙しくて、仕事で頭がいっぱいになったら、好きなことすら億劫になる。そういう時は、仕事や自己実現に人生を委ね過ぎないようにしたほうがいいなと思います。

 仕事は仕事と割り切って、自分のやりがいや大切なことは趣味や余暇の時間に託していく。その方が、好きなことをやりやすくなると私は思っています。

――「ライフワーク」と「ライスワーク」を分けるということですか?仕事は「食べるため」だと割り切って、人生を懸けたライフワークに精を出せばいいと。

 そういう整理の仕方もあるでしょう。ただし、「これは仕事でライスワークだから、手を抜いていい」みたいな考えはしないようにと私は心掛けてきました。

 とはいえ、仕事もお金も、人間関係も趣味も全部!って思うと、逆にいろいろ狭まってくる。それを頑張れる状況とめぐり合えるかどうかは、やっぱり運が必要だと思っています。

いつでも誰かとつながってしまう時代
1人になれる読書の魅力とは

――ところで、「読書離れ」について、三宅さんはどう思いますか?

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』にも書いたとおり、仕事で疲れているとスマホやインターネットばかり見てしまい、ノイズ(自分が求めていること以外)を排除しやすい状況が生まれているなと私は思っています。

 スマホは自分が欲しいと思う情報にダイレクトにアクセスすることができますが、ある意味でノイズがない。一方、本にはノイズがあります。現代の効率を重視する風潮は、知りたい情報に直結するスマホにすごく合っています。また、働き過ぎる環境下で、ノイズの多い読書をしようとはなかなか思えないですよね。