内臓脂肪と生活習慣を数値化で
モチベーションアップ

 そのための施策、「楽しみながら取り組む仕掛け」(下図参照)はまず「内臓脂肪を測る。生活習慣の特徴を知る」。内臓脂肪測定会を開き、生活習慣に関するアンケートと、内臓脂肪計を用いた測定の結果を基に、内臓脂肪と生活習慣を数値化し、動機付けを行う。

 日常生活では、加速度センサーを内蔵した機器「ホコタッチ」を希望者に貸与し、歩数や歩行速度、歩行生活年齢、脳の活性度等を測定する。ホコタッチの日々の数値が、毎日のモチベーションにつながり、歩行改善を促す。従業員の約4割が使用している。

 食べ方では、「スマート和食」を推奨する。タンパク質、食物繊維、オメガ3を中心にした、ボリュームがありながら内臓脂肪をためにくい食事メニューを開発した。

 日々の食事を改善するための料理教室を開催する他、全国11カ所の社員食堂で提供する。 

 成果は着実に出ている。23年に全国8拠点で3カ月ほどの期間を空けて2回の内臓脂肪測定会を実施したところ、6拠点で内臓脂肪の数値が減少し、全体平均で3.6平方センチメートル減少した。

 健康の現状と課題を見える化するべく、09年から毎年「花王グループ健康白書」を発行し、従業員の健康に関するデータや、拠点ごとの取り組みを公開している。こうした健康施策のPDCAを回し、持続的な健康経営を推進している。