「あなたは人生というゲームのルールを知っていますか?」――そう語るのは、人気著者の山口周さん。20年以上コンサルティング業界に身を置き、そこで企業に対して使ってきた経営戦略を、意識的に自身の人生にも応用してきました。その内容をまとめたのが、『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』。「仕事ばかりでプライベートが悲惨な状態…」「40代で中年の危機にぶつかった…」「自分には欠点だらけで自分に自信が持てない…」こうした人生のさまざまな問題に「経営学」で合理的に答えを出す、まったく新しい生き方の本です。この記事では、本書より一部を抜粋・編集します。
昨年1年、スムーズに結果が出せていたとしたら…
今、これを読んでいる皆さんにとって、昨年はどんな1年だったでしょうか?
大きな不安やストレスもなく、スムーズに周囲の期待する成果を出せていたのだとすれば、学習や成長といった観点からすると「天井にぶつかってしまっている」という状態だと言えます。
このような状態が長く続くと、井伏鱒二の小説『山椒魚』のような状態になってしまう可能性があります(※『山椒魚』は、小さな岩の隙間に住む山椒魚が、成長するうちにその隙間に閉じ込められてしまい、外に出られなくなるという話)。
この停滞が発生しがちなのが、特に40代の「人生の夏の後半」からです。この年代になると、それなりに実績も評価されている方が多く、あまり「みっともない姿」は見せられないなと思うようになります。そうすると、自分の経験の範囲内でやれる仕事ばかりをやり、みっともない姿を見せることになりかねない、難易度の高い仕事や新しい環境を避けがちになります。
これは「最終的にどういう人生を生きたいのか?」ということにも関わってくる問題なので、放っておいてくれ! と言う人に無理強いするつもりはないのですが、人生が長期化し、労働する期間が長くなればなるほど、この「みっともない姿は見せたくない」という恐れは、その人の人生が大きく開かれる可能性を阻害するようになります。
ハーバード大学教育大学院のロバート・キーガンらによる研究は、私たちが、必死になって見せまいと隠している「弱さ」「みっともなさ」にこそ、実は私たちが成熟していく機会が潜んでいることを明らかにしています。