各行が取り組むイノベーション
大手行も新しい価値観を取り入れる

 銀行は数が多いだけに、経営状況が厳しいところもある。最近では、ネット銀行など新興勢力も台頭してきた。

 この状況で銀行が生き残るためには、イノベーションが求められる。ただし、それを実現するのは容易ではない。

 例えば、地域商社や農業といった銀行以外の業務に取り組む動きも見られる。

 また、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)などの投資も活発化している。「金融にも強い総合サービス業」を将来像に掲げる東京きらぼしフィナンシャルグループでは、スタートアップ支援に特化したイノベーション投資組合を設立するなど、新たな試みが行われている。

 また、ソニーフィナンシャルグループもフィンテック分野で新しいビジネスを模索している。同社は暗号資産のウォレット開発や、個人向けのリテール商品開発にも力を入れている。年功序列がほとんどなく、元金融庁長官の遠藤俊英CEOがアイデアマンとして、業界に新しい風を吹き込んでいる。

 三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行などのメガバンクが銀行業界のヒエラルキーのトップに位置しているが、最近ではそうした旧来の大手行も新たな価値観を取り入れている。

 特に、若手が社内ベンチャーのような形で新しいアイデアを提案しやすい環境が整えている。その成功事例として、三井住友銀行の多様な機能を一体化した「Olive」が挙げられる。

人口減少で求められる
若い人の新しい発想

 金融業界に就職する際に重要なのは、金利の変動について知識を深めることだ。過去20年以上、低金利が続いていたため、新しい金利環境に対応できる人材が求められているからだ。

 特に金利が上昇傾向にあり、有価証券の運用が難しくなっている。そのため、これまで求められなかったスキルが必要とされる状況になっている。

 業界構造の変化は金利の動向と地方の人口減少が関係している。今後、預金の都市集中や地方銀行の預金減少が予想されており、顧客維持のための新しい取り組みが求められている。

 地方銀行では、若い人たちの意見を取り入れ、地方で口座を持ち続けてもらうための施策を検討している。新しい発想が求められる場面も増えており、地方銀行でも若者の意見が重視されるようになってきた。

 次に、銀行業界への就職希望者が企業で活躍し、成長していくために必要な準備や、面接で重視されるポイント、注目すべき資質について解説する。