糖尿病患者さんの中にはこうした健康情報を見てついつい同じ食品ばかりを食べ続けてしまう方がいます。とはいえ、糖尿病になってもタンパク質、炭水化物、脂質などといった栄養素をバランスよく摂ることは大切です。そうした前提を踏まえたうえで、血糖値を下げる食べ物について見ていきましょう。

 まず、糖尿病の方にお勧めしたいのが、食物繊維を豊富に含んだ野菜や海藻類です。食物繊維の中には水溶性食物繊維、不溶性食物繊維がありますが、とくに水溶性食物繊維は糖質の吸収をゆっくりにして、血糖スパイクを防いでくれます。水溶性食物繊維が豊富な食品としてはこんにゃく、しいたけ、わかめ、昆布などがあります。

 また、野菜の中でもとくにお勧めしたいのがブロッコリーです。ブロッコリーには食物繊維が豊富に含まれるだけでなく、インスリン抵抗性を下げるスルフォラファンという物質が含まれています。研究では「ブロッコリーから抽出されたスルフォラファンを摂取させたところ、肥満および2型糖尿病患者の空腹時血糖を改善した」という報告があります。

書影『自分でできる!薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)『自分でできる!薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)
矢野宏行(Dr.ゆきなり) 著

 その他にもスルフォラファンには抗酸化作用、がん予防、脂肪燃焼効果などがあり、糖尿病だけでなく、肥満や老化を防ぐ作用もあります。では、1日にどれぐらいブロッコリーを摂ればよいのでしょうか?

 これについては諸説あるため、あくまで目安となりますが、毎日の食卓にゆでたブロッコリーを常備するとよいでしょう。私もブロッコリーが苦手で娘にそっとあげていましたが、血糖値を下げる効果を知ってからは、毎日ブロッコリーを食べるようにしています。なお、スルフォラファンはキャベツやカリフラワーなどにも豊富に含まれているので、ブロッコリーがない時は代用してみるとよいでしょう。

 野菜や海藻類が血糖値を下げることは分かったけれど、これらがどうしても苦手という方がいるかもしれません。その場合は主食となるご飯に粒こんにゃくを混ぜたり、市販のカリフラワーライスを代用してみたりするのもよいでしょう。とくにカリフラワーライスはブロッコリー同様インスリン抵抗性を下げる効果も期待できるのでお勧めです。