極端な糖質制限は危険
逆に高血糖を招いてしまう

 糖質制限の対象となる炭水化物は、エネルギー源となる糖質と食物繊維とで構成されています。炭水化物はさまざまな食べ物に含まれていますが、とくに主食となる白米やパンなどに多く含まれています。そのため、主食を中心に炭水化物の摂取を控えれば、血糖値は上がりづらくなります。

 これを聞いて「炭水化物をなるべく摂らないようにしよう」と思われる方がいるかもしれませんが、極端な糖質制限はかえって逆効果になってしまうことがあります。糖質制限で糖質が不足した状態が続くと、筋肉を分解してアミノ酸に変換してしまい、肝臓で糖新生(編集部注/物が脂質やアミノ酸など糖質以外の物質からグルコースを合成する代謝経路。肝臓や腎臓で行われる)が起こってしまいます。この状態が続くと、筋肉量が次第に減っていくので、糖代謝が悪化し、かえって高血糖が引き起こされてしまうことになります。では、血糖値を上げない糖質の量とはどれくらいなのでしょうか?

 私のクリニックの患者さん約30名を対象にして炭水化物の摂取量と血糖値の関連性を調べたデータでは、「1食当たり糖質40g程度であれば、目立った高血糖は起こらない」ことが分かりました。

 ちなみに、おかずにも1食当たり平均10~20g前後の糖質が含まれています。したがって、主食の糖質量は1食当たり20g前後を目安に抑えるように心がけてください。

 例えば、白米なら50g(お茶碗半分)、食パンなら50g(8枚切り1枚)、ゆでたパスタなら50g(1人前の半分)、そばなら90g(1人前の半分)になります(表17)。

表17:糖質制限の目安となる1食当たりの主食の量同書より転載 拡大画像表示