この事件では、虚偽の経費申請により会社資金が詐取されました。詳細は公表されていませんが、10年間という期間を鑑みるに、おそらくささいな不正申請の成功体験が積み重なり、1億円超の巨額不正に発展したのではないでしょうか。

 経理部はこのような不正を防止するため、経費の事業関連性を所属部署の上長と共にダブルチェックしています。

 前述の通り、経理部は他部署への「依頼」や「指摘」が多い部署です。そのため否定的な評価を受けやすいものの、これは会社にとって極めて重要な役割であり、不正防止の観点からも必要不可欠な機能です。この点についてご理解いただければ幸いです。

あなたが経理部から指摘されるワケ
何を求められているのか

 以上、経理部から嫌われる3つのNG行動を紹介しました。

 経理部は、従業員の活動を決算書の数値として可視化する役割と、不正防止のチェック機能を担っています。こうした職務を遂行する上で妨げとなる要因が生じた場合は、その除去に向けた取り組みが求められます。こうした中で、協力的でない従業員との関係は、やはり悪化しがちです。

 どの職種においても共通して言えることですが、上司や担当部署の指示にただ従うだけでは、ビジネスパーソンとして二流です。一流のビジネスパーソンは、相手(依頼者)の業務を理解し、依頼の背景にある本質的なニーズを把握して対応します。

 よくある例え話として、「電動ドリルを買い求める人は、ドリルが欲しいのではない。穴を開けたいのだ」というものがあります。これは、相手の真意や背景を理解し、本質的には何が求められているのかを理解することが重要だということを示しています。

 普段、皆さんは経理部から指摘を受けることが多いでしょうか。もし指摘が頻繁にあるのなら、それは相手の業務に対して理解が不足しているのかもしれません。なぜ指摘されているのか、なぜその確認が必要なのかを、ぜひ考えてみてください。

 本稿が、経理部の企業内における役割を改めて再確認するきっかけとなれば幸いです。