どの職場にもややこしい人物がいるものだが、特に厄介なのは何かにつけて攻撃的な反応をする人物だ。別に嫌なことを言ったつもりはないのに、突然烈火のごとく怒り出すのだから、困ってしまう。どう接したらいいのか分からない、という声を聞くことも珍しくない。なぜ、そのような攻撃的な反応になるのだろうか。(心理学博士 MP人間科学研所代表 榎本博明)
親切心から声をかけたのに、攻撃的になる
やたらと攻撃的な人物がいると、職場の空気が乱れ、メンバー全員のモチベーションにも悪影響が出かねない。そうした周囲への悪影響を防ぐには、攻撃的な人物の心理メカニズムを理解しておく必要がある。
何かと攻撃的な反応を示す同僚に困惑している人は、「同僚にライバル心を持つのは理解できるけれど、職場の仲間なのだから、なぜもう少し友好的な態度を取れないのだろうか。なぜあんなに攻撃的なのか」と、どうにも理解に苦しみ首をかしげる。
しかし、そのような攻撃的な人物には、仲間に対しても疑心暗鬼になるような傾向がある。ある人は、親切心から声をかけたのに、とても攻撃的な反発を受けて唖然としたという。
「何かと対抗心むき出しなので、日頃からうんざりしているんですけど、つい先日、帰ろうとしたら、その同僚が切羽詰まった様子で書類作成をしていて、残業モードでした。『大変だね。頑張って』と声をかけたら、『自分は余裕だって言いたいのか!』と攻撃的な言い方をするんです。こちらはそんなつもりなどなく、本当に大変だなと思って励ましただけなのに、それでも反発するんですから、どう関わったらいいかわかりません。というか、できることなら関わりたくないです」
これを聞いた別の人も、似たような経験をしたと話す。
「私の職場にも同じような感じの人がいます。その人が任されていた仕事は、以前私が担当していたもので、こうすれば効率的にできるというコツがあったので、それを教えたんです。そうしたら、『それって自慢?オレにはオレのやり方があるんだよ』と、すごく嫌な言い方をされました。自分のやり方にこだわるにしても、普通は取りあえずお礼を言うところですよね。あんな言い方はないと思います。もう一切関わりたくないと思いました。ああいう人がいると職場の雰囲気が悪くなるし、早くどこかに異動してくれないかと祈るばかりです」
このように、何かと攻撃的な反応を示す人物に手を焼くといった話をしばしば耳にする。職場の同僚である以上、関わらないわけにはいかない。でも、なぜそのような反応をするのかを理解できれば、こちらの気持ちにも余裕が生まれるし、どうすれば無難に関われるかのヒントも得られるはずだ。では、そのような人物の頭の中はどうなっているのだろうか。