空き駐車場は、いわば「負債」を抱えているのと同じ状態だ。利用者がいないにもかかわらず、保守点検や修繕のためのコストは発生し続ける。最終的には、駐車場を利用していない他の区分所有者にも、管理費や修繕積立金の値上げという形でのしかかってくることになる。

 まず管理組合には、駐車場の利用状況を正確に把握することが求められる。利用率が70%を下回る、あるいは低下傾向にある場合は、黄色信号と捉え、早急に対策を検討する必要が出てくるだろう。空き区画の外部貸し出しやシェアリングサービスの導入、さらには機械式駐車場を撤去するなどの大胆な対策も視野に入れていかなければならない。

マンション管理の課題に
共通する「関心の薄さ」

<課題5>「無関心」からの脱却、マンションの価値は住民が決める

 ここまで、マンション管理を揺るがす4つの課題について触れてきた。課題の根底に共通するのが、「マンション管理」に対する関心の薄さではないだろうか。2022年4月にスタートした「管理計画認定制度」と「マンション管理適正評価制度」は、管理不全に陥っていないかを「見える化」する制度だ。日頃の管理への取り組みが、市場での評価につながる時代がやってきた証しでもある。マンションの管理状態に「無関心」でいることは、将来的な資産価値に影響を及ぼす可能性も否定できない。

 一方で、「立地」や「建物」といった、変えられない要素もある。しかし、忘れてはならないのは、「管理力」は、そこに住む私たちの意識と行動で、大きく変えられるということだ。

 自分たちのマンションの「管理力」を高めるためには、所有者一人ひとりが、自分の住んでいるマンションに関心を持つことが重要になる。さらにマンション管理の知識を深め、現状を正しく理解すること。時には専門家の助けを借り、勉強会を通じて学ぶことも必要だろう。その上で従来のやり方にとらわれず、社会の変化に応じた新たな方法を取り入れるなど柔軟により良い管理を目指していかなければならない。

 マンションに暮らす一人ひとりが、できる範囲で管理組合運営に関わり、共に考え、行動する。その継続的な取り組みこそが、マンションの資産価値を守り、高めていくための最良の道となるだろう。

(株式会社さくら事務所創業者・会長 長嶋 修)

さくら事務所公式サイト
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