オフィス街も閑散としているオフィス街も閑散としている(筆者撮影)

「消費降級」時代の節約志向、若者の行動も変化した

 今、中国では「消費降級」(消費のグレードダウン)という言葉が流行語となっている。若年層の高失業率や不透明な経済見通しにより、人々は収入増が見込めず、極力支出を抑える傾向にある。「いつ職を失うかわからない」という不安から、節約志向が強まっているのだ。

 ショッピングモールには人が少なく、飲食店フロアのみ集客力がある。その中でも、高級店は閑散として、安価な店舗にばかり客が集中する状況が続いている。「大衆点評」(中国版「食べログ」)を見ると、高級店は共同購入する3割引きクーポンを提供している。上海滞在中、仕事でもプライベートでも、人と会食するときには毎回利用していた。割引率が高い上に利用しやすいクーポンで、消費者側としては得をした気分だが、店舗側にとっては出血大サービスに違いない。

 若者の消費行動も大きく変化した。以前の「メンツを重視し、流行を追う」風潮から、必需品かつ低価格品しか選ばない傾向へと転換している。ある知人は、かつてはブランド品しか身につけなかったが、現在では服はネットで購入し、化粧品も母親世代が使う国産品に切り替えたという。まるで別人のように変わっていた。彼女は、1年前と比べて給料が3分の2に減った上、年末の約100万円のボーナスも支給されなくなってしまったからだ。

デパートの化粧品フロアにもほとんど客がいないデパートの化粧品フロアにもほとんど客がいない(筆者撮影)

 また、中国では従来、冷たい食事を好まない文化があり、弁当を持参する習慣はなかったが、最近では会社の電子レンジで弁当を温めて食べるOLが増加するなど、新しい消費習慣も生まれている。