復調傾向の「広尾学園」と「三田国際」

 ここ数年で、女子受験生の間に午後受験がすっかり浸透した。2024年は1日午後に約1万5000人もの女子が、いずれかの学校で入試問題と向き合っている。受験者数が多い学校順に20位まで見ると、共学校は3位東京農業大学第一、6位広尾学園、13位神奈川大学附属の3校のみで、その他の女子校を含むこの20校で受験生全体の半分弱を占めている。1日午後入試は、受験生の負担が少ない1科入試が人気を博す一方で、難関・上位校受験生の受け皿として特待生を募る入試も目に付く。

 Aランクの難関校は広尾学園[2回]([ ]内は入試名。以下同)のみで、二つの入試区分がある。24年に285人が受けて2.79倍(23年3.62倍、22年3.06倍)の[本科]は、10月の微増から12月は1割増まで増やしており、25年は3倍乗せもあり得る。188人で2.81倍(23年3.28倍、22年3.16倍)の[インターナショナルSG]は、10月の2割減から11月は前年並みに、12月には2割増と人気が高まっており、25年は3倍乗せの公算が大きい。

 Bランクの7校は共学校で占められている。女子校は、1日午前はDランクの田園調布学園[午後]の算数1教科のみとなっている。174人で1.61倍(23年1.8倍、22年1.49倍)と、この入試回の上位校の中では受かりやすい。志望者数は1割減が続いており、22年実績程度まで緩和するかもしれない。

 午前もBランクだった東京農業大学第一[2回]は、算国か算理いずれかの2教科を選択する。共学校ではトップ、全体でも3番目に多い489人が受験して、2.27倍(23年1.93倍、22年2.07倍)だった。10月の2割半減から1割半減、12月は1割弱まで戻してきた。25年は午前に[1回]を新設した影響もあってか、2倍程度まで緩和する可能性もある。それでも1日午後は、男子は同じ世田谷区の東京都市大学付属に、女子はこちらに向かうという流れが25年も続くことだろう。

 178人で1.84倍(23年1.89倍、22年1.7倍)の山手学院[特待選抜1]は、1割減、2割弱減から12月には前年並みに戻している。東京都市大学等々力[1回S特選]は、150人で1.6倍(23年1.81倍、22年1.42倍)と午後入試らしいマイルドな倍率だが、志望者数はほぼ前年並みの微減ということで、25年も同様の受けやすさが続きそうだ。三田国際科学学園[2回ISC]は99人で2.61倍(23年4.93倍、22年2.08倍)だったが、12月に2割増となっており、25年は3倍を目指すことになりそうだ。