書店の倒産・廃業が止まらない。国内の書店数はこの20年間で半減し、いまや全国の約4分の1の市町村に書店が1店もない状態だ。こうした中、自民党の政治家有志が2017年に「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(「書店議連」、前「全国の書店経営者を支える議員連盟」)を立ち上げたほか、2024年3月には経済産業省が「書店振興プロジェクトチーム」を発足させた。議員連盟の世話人として活動する角川春樹事務所の角川春樹社長に話を聞いた。(構成/田之上 信、編集/三島雅司)

「本を守らなければならない」
書店や出版社に迫る地殻変動

「本屋を守り抜く!」角川春樹氏が決意を激白する、出版業界の起死回生策とは角川春樹氏

「本屋がなくなれば、街そのものが文化的価値を失います。本屋は人が集まり、言葉や思想が生まれる場所なんです」と角川春樹氏は強調する。

 この言葉には、彼の書店への深い思いがにじみ出ている。書店は単なる商業施設ではなく、地域社会の知的な拠点であり、文化の発信源としての役割を担っているからだ。

 日本の書店数はこの20年間で約半減し、現在では全国の約4分の1の市町村には書店が存在しない。この数字は単なる統計以上の意味を持つ。書店が消えることは、その地域で本に触れる機会が失われ、次世代に文化を引き継ぐ手段が減少することを意味しているのだ。

 角川氏が特に危機感を抱くのは、地方における書店の閉店だ。都市部とは異なり、地方では書店がその地域唯一の文化施設である場合も少なくない。「地方に住む人々が本を手にする機会が失われていくことは、日本全体の文化力が低下することを意味します。本を手に取る体験をなくしてしまえば、若い世代が本の世界に触れる機会を失い、文化の根幹が揺らいでしまいます」と彼は語り、地方書店が消えることの重大さを指摘する。