保険大激変 損保の構造的課題が生保にも飛び火!#14Photo by Shun Nakamaru

ビッグモーター(現ウィーカーズ)問題によって2024年1月に業務改善命令が出された翌月に就任した損害保険ジャパンの石川耕治社長。昨年末に出された金融審議会の保険ワーキング・グループの報告書や、自社の業務改革の進捗についてどう考えているのか。特集『保険大激変』の#14では、石川社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫、構成/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

業界を変える転機にしたい
損保ジャパンは“まだまだ”

――損害保険業界にとって2024年は、ルール改正へ向けた動きが加速した1年でした。24年12月には金融審議会の保険ワーキング・グループ(WG)が報告書を公表しています。昨年をどのように捉えていますか。

 報告書の内容を、役員も社員も重く受け止めてほしいと思っています。報告書の中に「古い慣習と決別すべきである」と明記されており、また最後に「我が国の保険事業が国民生活の安定・経済の発展に貢献することを、強く期待したい」とあります。本当にその通りだと思っています。

 今回、損保業界では多くの時代錯誤な文化が明らかになりました。特に当社はビッグモーター(現ウィーカーズ)の問題で顕在化したように、あしき習慣が最も目立った会社ですので、報告書にあった内容を重く受け止めて、業務改善計画を進めなければなりません。WGで座長もおっしゃっていましたが、今回を変える転機にしなければならないと思っています。

 今の損保ジャパンはどうかと考えると、まだまだだと思っています。タウンホールミーティングやリーダーサミットに行くと、行動を変えようとする社員がいるのは事実ですが、冷静に見るとまだ組織内にムラがあります。ムラがあるということは、何かが起こる可能性があるともいえるので、丁寧に社員とコミュニケーションを取っていくことが重要だと思っています。

――ムラというのは、課・支社長やチャネル、部署によって、これまでの業務のやり方を変えようとする意識の差があるということでしょうか。

 課長や支社長が、自分の言葉でしっかりと伝えられているかどうかにおいてです。

ビッグモーター問題で損保ジャパンは、問題が解決したとはいえない中でいち早く事故車の入庫誘導を再開するなど、業界のあしき慣習が際立っていた。前社長の引責辞任を受けて石川氏が損保ジャパン社長に就任してから、丸1年が経過した。企業風土や業務プロセスの改革の進捗状況、さらに金融審議会の保険WGの報告書をどのように受けて止めているかなどについて話を聞いた。