部下の提案を
面白がるようにしている
例えば当社では、商品開発会議があります。スタッフが懸命に考えて、新メニューを発案したら、私は面白がるようにしているんですよ。
実際面白いアイデアばかりなのですが、あるスタッフは納豆を具材に使った「納豆バーガー」を提案してくれました。私は即座にNGだと考えましたが、まずそれを試食して「いいと思う。すごく面白い、おいしい」と感想を述べました。その後、私は商品化に反対であり、その理由を説明したのです。
「もし納豆バーガーをフライドポテトと一緒にテイクアウトしたとしたら、袋を開けたときのにおいはどうなるだろう。フライドポテトと一緒に入ることで、納豆が生温かくなって全体のにおいや味も損なわれないかな。それに、納豆嫌いな人が来店したときに、隣の席で納豆のにおいがしたら耐えられないかもしれない」
「おいしいこと」を認めてから、反対の理由を説明すれば、受け取り手は全否定ではないと感じます。
提案したスタッフは、その場では「そうですかね」と納得したのですが、しばらくしてから今度は「キムチをのせるといいと思う」と言ってきたのです。これにも「おいしいけど、それではにおいがますます強くなるでしょ!」と笑いながら返しました。
すると今度は、メディアの取材で「ボツになったバーガー」を取り上げる企画があり、スタッフが再び納豆バーガーを用意してきたのです。「これ、社長が絶対ダメだって言うんですけど、食べてみてください」と勧め、メディアの方が試食しました。皆さん、「おいしい」と言います。すると「ほら、社長」と、何とも自慢気なスタッフでした(笑)。
このように、もし部下の挑戦がボツになっても、上司の対応次第で部下は新たなチャレンジをしてくるでしょう。私は仕事に対して自由に何でも発言できる社内の雰囲気を守りたいと思うと同時に、めげずに何度も提出してきたこのスタッフの姿勢は褒めるべきところだと感じました。
成功体験を積むほど
現場からアイデアが生まれる
また部下の挑戦がうまくいったときは、それは彼らの成功体験となって、仕事へのモチベーションが高まっていきます。
SHIBUYA109のアパレルショップでは店内をきれいにしたり、商品のライン・ディスプレーを工夫したりすることで実際に商品が売れていくと、若いスタッフも仕事が楽しくなり、「服の見せ方」を自ら工夫をするようになりました。
当社でも、ドムドムハンバーガーのアイコン「どむぞうくん」のぬいぐるみが最近とても売れるのです。それで公式アカウントで「どむぞうくん」の写真を投稿することになりました。瞬く間に1万件以上の「いいね」がつく。「バズリ」ます。スタッフがそこに面白さを感じると、今度はどこで「どむぞうくん」のぬいぐるみを撮影しようかとか、どんなふうに紹介しようかと率先して考えるようになります。
成功体験を積むほど仕事が楽しくなっていき、現場から新しいアイデアがどんどん生まれるようになるのです。
>>第4回は2月17日(月)に配信予定です