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毎年2月が年度末である韓国は、現在、卒業シーズンの真っ只中にある。多くの学校が春休みを迎えるこの時期、教育現場に衝撃が走った。小学校教師が、自分が勤める学校の1年生の女児を校内で殺害するという、前代未聞の事件が発生したのである。学校という本来安全であるべき場所で起きたこの事件に、韓国社会は大きな衝撃と深い悲しみに包まれている。(韓国在住ライター 田中美蘭)
教師が児童を殺害~小学校で前代未聞の痛ましい事件が起きた
事件が起きたのは、韓国中部の都市・大田(テジョン)。加害者は市内の小学校に勤務する40代の女性教師、そして被害者は同校に在学する小学1年生の女子児童であった。
事件当日の2月10日午後、女子児童が通う美術教室から「(児童が)来ていない」との連絡を受けた保護者は、児童の携帯電話に通話を試み、GPSの位置情報を頼りに校内を探した。その結果、視聴覚室内の倉庫で倒れている児童を祖母が発見した。女子児童を襲った女性教師も自傷により負傷しており、二人は病院に搬送されたが、児童は死亡。教師は緊急手術の後、一命をとりとめ、現在は集中治療室で治療を受けている。
犯行の経緯について、女子児童は加害教師の担当クラスの児童ではなかったため、接点が疑問視されていたが、学校内の「トルボム教室」(日本の学童保育に相当)を利用していたことが判明した。捜査の結果、通常授業後に児童はトルボム教室で時間を過ごし、美術教室に向かおうとしたところを、女性教師から「本をあげる」と声をかけられ、事件に巻き込まれたとみられている。