医療費控除の入力で注意したい2つのルール
国税庁エクセルの“罠”に気を付けて

 医療費控除の入力法は次のように複数ある(以下はe-Taxで申告する場合の選択肢)。

◆1.健康保険の医療費通知を利用する

 e-Taxの確定申告作成コーナーで医療費通知(xmlデータ)を読み込む、または医療費通知の書面を見ながら手入力する

◆2.国税庁の「医療費集計フォーム」を利用する

 医療費集計フォーム(エクセル)に医療費を手入力し、そのデータをe-Taxに読み込む

◆3.領収書を利用する

 医療を受けた人・医療機関や薬局ごとに手入力する

 加入の健康保険から送られてくる「医療費通知」はいちいち手入力をしなくてすむので、利用すると便利。マイナポータルの「健康保険証」のページには過去の医療費通知のデータがあるので、e-taxでそれを読み込むのがらくちんだ。データを読み込んだあと、「補填される金額」などを入力するようになっている。

 ただし、注意点が2つある。1つ目は、「補填される金額は支払った医療費が上限」ルールを忘れずに入力すること。

 支払った医療費が20万円で、補填される金額が30万円の場合、補填される金額は20万円と入力する。30万円とすると、合計額を出す際に10万円が他の医療費から差し引かれて、受けられる医療費控除が少なくなる。これは大損のもとになるので、気を付けたい。

 2つ目は、年末数カ月分は手入力が必要であること。医療費通知は健康保険の保険者にレセプトが届いた分で作成されるので9~10月くらいまでの情報しか記載がない。10~12月分は手元の領収書を見ながら、手入力しよう。

 選択肢2の国税庁のサイトからダウンロードできる「医療費集計フォーム」の利用は注意が必要だ。ある意味、落とし穴が潜んでいるといってもいいかもしれない。

 下記がそのエクセルシートだ。

「支払った医療費の金額」と「左のうち、補填される金額」に数字を入力すると、左上の「入力した合計金額」のセルに反映される。便利だが、エクセルのセルに重要ルール1の「『補填される金額』は『支払った医療費が上限』」となる関数が入っていない。

 このため、「補填される金額」の欄で支払った医療費以上の金額を間違えて入力すると、合計金額欄の「補填される金額」も本来より多額になり、損をすることになる。

 申告する人は税のプロじゃないのだから、「補填される金額」のセルにMIN関数(支払った医療費が上限になる関数)くらい入れておいてよいのではと思う。このフォームを作った国税庁の人は落とし穴を作ったつもりはないのだろうが、不親切であることは間違いない。

 フォームを利用するなら、最重要ルールの「「補填される金額は支払った医療費が上限」に注意しながら入力しよう。

 このことは3年連続で書いているのが、いまだにエクセルシートが改善されないのは残念でならない。

 重要ルールを知らずに、せっかくの還付を受け取れないのは絶対避けたい。しっかり準備して、税金を取り戻そう。