まずヤクルトは前年の三冠王・村上宗隆の不振が最大の敗因。加えて2年連続優勝に酔った選手たちに貪欲さがなかった。巨人も阪神に何ゲームも差をつけて独走してもおかしくない戦力を持ちながら4位に終わり、2年連続でCS進出に失敗したのは、ビジョンのない原辰徳監督の責任だ。
DeNAは今永昇太、東克樹といった好投手と、宮崎敏郎、牧秀悟という好打者がいて戦力的には整っているが、長年の負け癖が染みついているのか、大事なところで勝ち切る地力が足りない。中日は最下位に終わったが、大切なのは勝ち負けではない。この選手を育てているな、という雰囲気がなかったことだ。
侍ジャパン・井端監督の
“逆シングル”推奨に異議あり
プロ野球のテレビ中継を見ていると、いろいろなOB評論家が登場して解説する。私に言わせると、ほとんどの解説者が現役時代の体験論を語るだけで内容が乏しく、勉強不足というほかない。
選手としてはそこそこの実績を残して人気があっても、監督経験がないために内容に根拠と説得力が乏しく、最近の目が肥えたファンよりレベルの低い解説者が多い。つまり解説者としての資格がない評論家が多いということだ。評論家はもっと勉強して、結果論や見たままの解説をしたり、球団や選手、コミッショナーに忖度するのではなく、ファンではわからない野球の本質を語ってほしい。
それだけに、自信たっぷりの解説を聞きながら「それは違うだろう」と驚くようなことがある。
たとえば2023年6月18日、東京ドームで行われた交流戦、巨人-楽天がそうだった。この日は巨人の交流戦の最終戦で、菅野智之が敗戦投手になって巨人のV逸が決まった試合だが、工藤公康、福留孝介とともに解説していた井端弘和(現・侍ジャパン監督)が内野手の守備について「逆シングルのすすめ」を力説したのには驚いた。
現役時代を巨人のショートとして過ごし、生涯「理想の守備とは何か」を追究してきた私には看過できない発言だった。