逆シングルで行っても吉川(尚輝)は足が速いので打球の正面に入ろうとしちゃう。

 正面に入らなくてもいいので、とにかく投げやすいほうは逆シングルで入って振り向いてそのまま投げたほうがいい。とにかく逆シングルでもいいから左足で合わせたほうがいい。

 ツーアウトランナー二塁とか、状況によって1点もやれないとき、後ろに逸らしたらいけないというようなときにはあえて正面に入って確実にアウトにすることもあるかもしれないけど、ほとんどアウトにするというところでは、(右側は)逆シングルはどんどんやっていくべきだなと思う。
(日本テレビ「プロ野球セ・パ交流戦 巨人-楽天」2023年6月18日)

人工芝になったことで
信じられないエラーが増えた

 侍ジャパン(野球日本代表)の井端監督は現役時代、中日で落合博満監督に鍛えられて荒木雅博二塁手と二遊間を組んだ。その後、2016年から2018年までは巨人の内野守備走塁コーチを務めたが、「内野手は逆シングルで捕れ」というのは間違っている。

 たとえばショートが三遊間のゴロを追うとき、打った瞬間に予測して打球の正面に入るのが守備の基本だ。そのほうが確実に捕球し、素早く正確な送球ができる。私も巨人時代、ショートの守備で逆シングルで捕ったことはある。

 しかしそれは打球が速く、正面に入れないときの非常手段だった。

 常に正面での捕球を心がけるということは、それだけ早く打球に反応しなければいけないということだ。結果として、少しずつ守備範囲は広くなる。逆に三遊間や二遊間の打球をショートやセカンドが安易に逆シングルで捕るクセがつくと、反応が遅れ、守備範囲が知らぬ間に狭くなるのだ。

 安易な逆シングルを助長したのは人工芝だ。雑なプレーや信じられないようなエラーが増えたのは、イレギュラーバウンドのない人工芝に安心しきって基本プレーを怠っているからだ。