同委員会では、次のような三つの問題が指摘されている(同委員会の議事要旨から引用)。

◯最高財務責任者(CFO)といった役割を担う個人を特定して、その責任で執行管理や情報公開を行うといった仕組みがないと全体が締まっていかない。
◯想定以上の物価上昇をも見込んだ「予備費」として6%として計上しているが、一般的な感覚では、今回の大阪万博で建設される建物は一つ一つが特殊な仕様で、年間で何十棟何百棟建てるといった形で規格化されるものでもないので、現下の市場を念頭に置いた際に、これで足りるのかという印象がある。
◯万博協会にはこれだけ多くの部局があるが、多くの事柄が同時に動き、日々数字も変わっていく中で、すべての数字を包括的に管理し、全体的に進捗を把握して総合的な指示を出せる者が必要。

大阪万博の「経済効果」に
浮かぶ疑問の数々

 多額の税金を投入する事業で、来年には開催されるのである。委員会での指摘を見て、内情は本当にひどいものなのだと感じる。要するに、お役所仕事で、税金がいくらかかっても誰も責任は取らないし、やりたい放題が続いていくということだろう。

 こうした私たちの税金を投入してのやりたい放題に、大きな批判が生まれることになった。納税者として当たり前の感覚だろう。

 そんな国民からの大きな批判を打ち消すように現れたのが「経済効果」というごまかしである。経済効果とは、莫大(ばくだい)な税金を投入しなくてはいけない国家的なイベントがあるたびに登場するもので、アカデミズムの世界では「眉唾」として取り扱われてきた。

 ありもしない数字を積み重ね、実際には起きるネガティブな効果を無視して算出しているためだ。

 詳細は、『大阪万博の経済効果、本当は「大幅なマイナス」繰り返される過大評価の罪深さ』(ダイヤモンド・オンライン)で述べたので簡単に解説しよう。