スボレキサントも他の睡眠薬も同じようなものです。スボレキサントは1~2週間でやめないといけません。それ以上長く服用すると、死亡率が上昇する研究結果がたくさん出ています。

――中毒になるということですか?

 そうです。睡眠薬を服用したことがある人なら経験していると思いますが、睡眠薬を使って寝て目を覚ましても、リフレッシュされた気分になりませんよね。マイケル・ジャクソンを覚えていますか?

――もちろんです。私は、『マイケル・ジャクソン 死の真相』という本を出していますから。

 彼は、不眠症であり、睡眠薬中毒だった疑いが指摘されています。米国の薬物乱用に関する研究機関は、睡眠の研究にも非常に興味を持っています。アルコールやマリファナ、コカインなどの薬物中毒者は、中毒の原因の接種をやめると、眠ることができるからです。

 一方で、「睡眠薬中毒」になると、睡眠をとっても回復作用が起こりません。ですから朝、目が覚めても、疲労感が残ってその日の活動に支障をきたすのです。これも、脳内のアミロイドβを掃除できていないのが原因です。

 睡眠薬を服用して寝る場合と、自然に寝る場合は、完全に分けて考える必要があります。睡眠薬を使って寝る場合は、脳の掃除があまりできません。睡眠薬を服用しすぎると、脳のゴミ掃除が十分できないので、認知症につながりやすくなるのです。

 重要なのは毎日、脳を使うこと。ワクワクするような生活を送ることです。Love your life! 私は毎日脳をたくさん使うので、自然に熟睡できます。それがベストです。やる気満々な気持ちで毎日を送ってください。

マイケル・ジャクソンの命も奪った「睡眠薬中毒」の怖い罠…ゾルピデム、メラトニン、スボレキサント何が違う?マイケン・ネダーガード/コペンハーゲン大学で1983年に医学博士号(MD)、88年に理学博士号を取得。84年~87年コペンハーゲン大学で神経病理学と生理学のポスドクを修了し、その後、米コーネル大学医学部大学院で神経科学のポスドクを修了。