2011年3月の東日本大震災で発生した震災がれきを全国各地で受け入れて処理する、いわゆる震災がれきの「広域処理」。現在大阪市が計画している「広域処理」に対して反対運動が続いているが、そうした反対派の逮捕が相次いでいる。2012年12月には関西の広域処理反対運動のリーダー的な存在である阪南大学准教授の下地真樹氏ら3人が逮捕された。下地氏ら2人は20日の勾留後釈放されたが、1人は起訴された。がれき広域処理の反対運動に対する弾圧との指摘もある、一連の警察介入の真相に迫るとともに、今年2月から震災がれきの受け入れを本格実施した大阪市の状況を報告する。
報じられない「威力」の適用
2012年10月以降に大阪で起きた、原発や震災がれきの広域処理への反対運動に対する3件の「弾圧」事件のうち、2件が威力業務妨害罪の適用による立件である。その1つ、阪南大学経済学部・下地真樹准教授ら3人が逮捕された事件の取材で、12月中旬に大阪を訪れた際、支援者の1人がこう話していた。
「威力業務妨害罪は、組合運動なんかで活動家に対する弾圧として使われることは過去にありました。団交とかでかなり強く要求をぶつけてということがありますから、それを狙われたんです。でも、普通の市民に使われるというのは聞いたことがない。最近の状況は異常ですよ」
そんな異常な逮捕が次々と起こり、すでに有罪判決まで出始めている。
4月18日、大手マスコミが一切報じない、市民運動に対する威力業務妨害罪を適用した判決が東京地裁であった。
東京地裁の入った合同庁舎4階の法廷手前には鉄柵が設けられ、10人ほどの法廷警備員が待ち構えている。地裁入口で手荷物検査を受けたにもかかわらず、筆記用具を除いて荷物を預かり、さらにペン1本、金属のボタン1つにまで反応する金属探知機で1人ずつ調べられる。