外出より家が好き
オシャレよりも知識習得が“幸せ”
外食や洋服代にも変化が現れます。外食は50代前半の1万7000円から、70代後半で1万円も減少。オシャレも節約しています。洋服代は2分の1から3分の1に減少、美容室代も緩やかに減少しています。こういったルックスに関してお金を使わなくなっているなんて、50代の筆者からみると、なんて不幸なのか……と将来を悲観してしまいます。
でも、実は興味が「外から内」に移行しているだけなのかもしれません。自分を着飾って外食しに出かけるなど外に対する興味や価値観から、身の周りの範囲内で楽しむといった内向きの価値観にシフトしているのです。
効率的に楽しみ、幸福度が上がることにお金をかけているのが70代です。
読書が楽しみの上位にランクインするようになり、その幸福度を上げるため書籍の購入が増えています。老眼で小さい文字を見るのがきつくなるのに、哲学など知識の習得のために65歳から本への支出が増えて、それは80代まで増え続けています。
書籍代は、50代前半は約2500円ですが、70代後半は3900円、80代後半は4100円に増えています。若者を中心に全世代で本を買う人が減っているのに、高齢になると読書家になり、同世代の友達と感想を話し合い、そして知識の習得も誇りになり、楽しみになっているのです。
ソニー生命「シニアの生活意識調査2024」(50~79歳)では、「現在の楽しみ」として旅行を楽しむ人が増えていて1位になっています。続いてテレビ/ドラマ、グルメ、映画、読書の順になっていて、やはり読書を趣味としていることが伺えます。
外に出て新しい発見をすることで流行に敏感になり、刺激を得ることができます。旅行もそうです。しかし、それが楽しみとしてずっと続くのかと思っていたら、そうではないようです。
総務省の家計調査では、パック旅行の支出は50代前半(月1686円、年2万232円)から、60代後半(月3926円、4万7112円)と2倍以上に増えています 。ただ、それ以降は減少しています。コーヒー、お茶などの嗜好品も楽しみですが、茶類やコーヒー代は60代前半がピークになっています。
最近の20代は、職場から家にすぐに帰宅、自宅や近くでゲームしたりYouTubeを一人で観たりするのが楽しいようですが、それと同じような感覚でしょう。新しいレストランに出かけたりするアクティブな50代の「グルメ巡り」などをピークに、その後は足腰に注意するなど行動範囲は狭くなっています。内向きにならざるを得ないのかもしれませんが、家や身近なことに幸福を感じるようになっているのかもしれません。そうなると、気に入った街に住むことも大切ですね。